近況報告 §
休みも終わりだ。憂鬱。
前回の雑記でも書いた通り、インフルエンザに罹患した。それで5日間の休みをもらったのだが、ついにその休みもあと1日で終わりとなってしまった。
いまだに頭が痛い気がする。いや、これは休みが終わる憂鬱から来ているのか。よくわからない。けど、ともかく気分が下がっていることは確かだ。
21日には「のんラジ」こと「がんばれのんラジオ(仮)」というウェブラジオにゲストとして招かれ、収録に参加した。
ほかにも2名のゲストがおり、普段の「のんラジ」パーソナリティ2名と合わせて合計5人での収録だった。まだラジオが公開されていないなかで感想を書くのも憚られるが、うまく参加できなかった気がする。
そのうち公開されるはずなのでみなさん聴いてみてくださいね。
22日の夜、テレビで「M-1グランプリ」がやっていたようだ。漫才コンクールの決勝戦で、毎年の恒例行事として年末に盛り上がっている。
今年も自分のタイムラインで実況的に盛り上がっていた。いいなと思った。
しかしわたしは見ません。M-1を見ません。今年も見てません。
なんのやる気もない。
youtubeアルゴリズムで面白いプレイリスト動画が流れてきた §
先日、youtubeを見ていたら、「あなたへのおすすめ」におもしろい動画が流れてきた。
タイトルは「White Girl Music Playlist for African Dictators」。2000年代後半から2010年代前半のグローバルヒットチャートを賑わせたようなガールポップをあつめたプレイリストだ。
投稿日時とコメントをみてみると、投稿されてすぐのにyoutubeアルゴリズムで話題になっていたようだ。
この動画の投稿者はこの動画と似たような妙なコンセプトのプレイリスト動画をアップしており、どれもyoutubeアルゴリズムで話題になっているみたいだった。
どれもタイトルとサムネイル画像に味がある。「Ultra Masculine White Girl Music for Engaging in Medical Malpractice」や、「Country Playlist to Drive to your Divorce Hearing」というタイトルがおもしろい。
この投稿者のプレイリスト動画をみると、「Ultra Masculine White Girl」とタイトルに入っている動画が2つある。どれも上に貼ったようなガールポップのプレイリスト動画なのだが、調べてみると、どうもこの「Ultra Masculine White Girl」というのが今年前半にちょっとしたミームとなっていたようだった。
最古の動画が多分この「ultra masculine whitegirl playlist」だと思う。「average enjoyer」によるの動画が「ultra masculine whitegirl」音楽の初出なのではないか。
サムネイルはHOUSE M.D.のGregory House。これを契機に似たようなコンセプトの動画が複数投稿され、その流れのなかに「African Dictators」のものもあるらしかった。ようはUltra Masculineから連想して、この路線を拡張した先にAfrican Dictatorsがあるということだ。
プレイリストをまとめた再生リストもあった。14件の動画が登録されている。
これらのプレイリストの文脈はわかりづらいしよくわかっていないが、たぶん「Sigma male」から来ているものだろう。
もともと、狼の群れを研究する動物行動学だか比較心理学だかで生まれた、群れの社会的ヒエラルキーの階層をギリシャ文字を使って呼び表す習慣から来ている。
研究上、狼の群れのなかでオスの社会階層の、より上位の階層を「アルファ」、下位を「ベータ」と呼ぶようになり、ここから研究上この呼び方が習慣化した。さらにここから、人間の、とくに男性社会のヒエラルキーにこの呼び名を転用して、上位の階層の男性を「Alpha male」、下位の男性を「Beta male」と呼ぶようになった。人間社会に転用して、性別ごとの社会的ヒエラルキーをこうした言葉で階層づけるようになったのがいつ頃なのかはよくわからない。しかし、これを設定として取り入れた、ファンフィクションの共有設定「オメガバース」の歴史をみると、この用例の受容のされ方がわかりやすい。
オメガバースは2010年代初頭に生まれたらしいから、歴史は意外と浅いのかもしれない。人間社会に転用するのは、もともとそういう用例があり、オメガバースがそれを取り入れたのか、それともオメガバースが人間社会に転用しはじめて、そこから広まったのか、それはよくわからなかった。
「Sigma」は2020年代に入ってから一般に広まった比較的新しいスラングで、「Alpha male」と同じように成功しているが、ヒエラルキーに属さず群れない孤高な存在、という意味がある。Z世代を中心にtiktokで流行した結果、「Sigma」はかっこいい、というような意味となり、スラングになった。
にロシアのデュオ「Betsy」と「Maria Iankovskaia」が発表した「Sigma Boy」がバイラルヒットしたのが象徴的だ。Streichbruderことドイツ出身のtiktokインフルエンサー、Simon Bothがこの曲を使った動画を投稿して炎上し、日本でも話題になっていた記憶が新しい。
追記:英語版Wikipediaの「Alpha and beta male」の項目をみると歴史について書いてあった。1990年代初頭に一部メディアがビジネス界の男性に向けて使いはじめて広めたらしい。「sigma」は2010年にオルタナ右翼の著述家であるVox Dayがブログで使いはじめたものらしい。マノスフィアでよく使われているというし、この点くわしく調べるとおもしろいかもしれない。追記終わり
「Ultra Masculine White Girl」は、このsigma maleミームから来ているように見える。「ライオンは自分が聴く音楽につけられたラベルを気にしない」というコメントがわかりやすい。Sigma maleは、Ultra Masculineであるがゆえに聴く音楽はMasculineである必要がないということなのだろう。
ところで、sigma boyのwikipediaをみていたら、このミームは「アルファ世代」に流行している、とか書いてあった。確かにBetsyとMaria Iankovskaiaはまだ10代前半らしい。アルファ世代......。台頭してきてる確実に、着実に、俺たちのほうに。ガチで危機感を持っています。
話をAfrican Dictatorsにもどすと、African DictatorsはSigma maleなのだろうか、という気持ちになった。African Dictatorsは典型的なAlphaだろう......。コメント欄がおもしろい。「仲間が全員内閣に就任」とか。シンプルにAfrican Dictatorsすぎる。
というわけで、youtubeアルゴリズムが教えてくれたおもしろいプレイリスト動画についての話でした。
最後に、こういうyoutubeアルゴリズムで流れてくるおもしろい動画をみると、コメント欄に「alive internet theory」とあるのをよく見る。これは「死んだインターネット理論」という陰謀論的な言説のカウンターミームらしい。alive internet theoryの再生リストをみても、これがdeadなのかaliveなのか、自分にはよくわかりませんでした。
youtubeアルゴリズムで話題になった動画のコメント欄は結構盛り上がってる傾向が強いから、それでaliveなんだろうけど......。(インターネットに幽霊が出る――ナンセンスという幽霊である。)って感じ?