近況
こまめに更新しようと思っているので、やっていきます。
最近はとくに何もやってないかなあ、と思いきや、txtコーナーに新しいページを作成したんだった。
あと、08月31日に他人事ラジオの収録をした。
まとめの表は一ヶ月に一回でいいかなと思うので、今回は省略しよう。
作業用BGM
Bjorkの公式のプレイリストを埋め込んでみたが、作業用BGMはBjorkのHomogenicです。
jógaが名曲。Michel GondryがディレクションしたMVも名作ですね。
あと好きなのはbacheloretteかなあ。そういえばこれもMVの監督がMichel Gondryか。
#music
新しく作った動画シリーズの紹介ページと「あり得た可能性」について
08月30日、txtコーナーに「redcompass_compilation_series」ページを作成して追加した。
RedCompassさんが2009年から2012年にかけてニコニコ動画で投稿したコンピレーションシリーズを紹介しているページです。
実はこのコンピレーション動画シリーズ、中高生くらいの頃にニコニコ動画で作業用BGM動画を色々見ていて知って、ものすごい影響を受けたんだよね。
自分の音楽(視聴)遍歴を語るのって恥ずかしい気持ちになるんだけど、ちょっと書いてみる。
まじめに音楽を聴き始めたのっていつ頃くらいからだろう。正直覚えてない。
小学生の頃は親が車の中で流していたコブクロとか、ケツメイシとか、宇多田ヒカルとか、当時流行っていた(というより、当時にしてもちょっと古かった気がする)曲をなんの気なしに聴いていた記憶がある。
そこから、色々な音楽を聞くきっかけになったのが、ニコニコ動画だった。音楽に限らず、自分の世界を広げてくれたのがニコニコ動画だったんだよね。
時系列を覚えていないけど、家においてあったパソコンでインターネットをはじめたのが2007年くらい。はじめてすぐにflashを知って(初めて知ったのがMichel PolnareffのTout, tout pour ma chérieの空耳flash「トゥートゥートゥマシェリーマーシェーリー」)、そのあとyoutubeを知ってバイオハザードのMADを見ていた記憶がある。
そこから時間が経たないうちに知ったのがニコニコ動画だった。
自分の人生を振り返ってみると、2007年はいろいろなことを知って世界が広がるきっかけになった年だった。ニコニコ動画がそのひとつ。
そのころ定期的に親がレンタルビデオ店でVHSを借りに連れて行ってくれて、そこで自分で背伸びをして、ちょっと硬派なSFアニメを借りはじめたのも同じくらいの時期だった。押井守の『イノセンス』が衝撃だった。
あともう一つ、親が昔使っていて、その当時はもう使われていなかったMDプレーヤーを(半ば勝手に)使い出したのも同じ時期だった。MDを焼いたりはしなかったけど、直接音楽を聴くきっかけになったのはこれがきっかけだったと思う。
MDプレーヤーと親が焼いたMDカセットはあっても、MD自体を自分が焼く
親が作ったMDはそこまで数があるわけではなく、そもそも自分が好きな曲が入っているわけでもないから、聴いているうちに飽きてくる。
イヤホンで音楽を「個人的に聴く」感覚に触れたのはMDプレーヤーが最初だった。
MDに飽きてきた、ちょうどそのときに知ったニコニコ動画は、まさしく自分の知らないいろいろな音楽を聞くことができる場所だったのだ。
ニコニコ動画はオタク文化の影響が色濃くあって、トップページにも当時の「萌え系」アニメのサムネイルが並んでいた。
ここでさっきのレンタルビデオ店の話とつながるのだが、当時小学生だった自分ははやめの中二病に罹患しており、ナヨナヨとした「萌え系」アニメは軟弱で避けていた。
正直、恥ずかしかったんだと思う。自分の気持ちに素直になれなかったとも言い換えられる。背伸びをして、大人な雰囲気のアニメを観るのがかっこいい気がしていた。
ニコニコ動画、音楽、中二病。ここから必然的にたどり着くことになったのが、作業用BGM動画だった。
ニコニコ動画には、ユーザーが独自のチョイスで曲をまとめて動画にした「作業用BGM」というタグがあった。
しかし、ニコニコ動画はオタク文化が強い。【作業用BGM】タグにはアニソンやエロゲソングの動画ばかり。
そこで見つけたのが、「アニメ色のない作業用BGM」タグだった。文字通りアニメ色がない作業用BGM。「大人な雰囲気のアニメ」からさらに背伸びをして、すこしずつ「サブカル」に入り込んでいく。
そこからはいろいろな作業用BGM動画を聴いていた気がする。細かい記憶はないが、最初は映画のサウンドトラックを聴いていて、そのうちに電子音楽(当時は流行っていたフレンチエレクトロとか、90年代のテクノとか。そのうちにwarp系のIDMに進む)を聴いていった記憶がある。
作業用BGMというと思い出すのは、PSPだ。
ある種同世代の共通経験的なところがあると思う。PSPにはmp3プレーヤー的な音楽再生機能が備わっていた。
当時はサブスクサービスなんてものはなく、音楽が好きな小中学生はCDを買い集める金もない。どうするのかといえば、ニコニコ動画の違法ダウンロード(当時は適法。2010年の著作権法改正でダウンロード違法化がなされ、2012年に刑事罰化。)だった。
ともかく、そういう時代だったというしかない。当時ニコニコ動画のダウンロードサービスとしてよく使われていた「にこ☆さうんど」でニコニコ動画にアップロードされた音楽をダウンロードし、PSPに入れて聴く。当時、インターネットに触れていた小中学生はこうした経験をした人が多いのではないだろうか。
専用の携帯音楽プレーヤーを買うことができず、多機能なスマートフォンが(小中学生に親が買い与えるほど)普及していない時代。音楽ストリーミングサービスが普及していない時代。アップロードはともかく、著作物のダウンロードについて、法整備がなされていなかった時代。音楽再生機能がありMP3を再生することもできた携帯ゲーム機は、こうした使われかたをよくしていたはずだ。
自分自身も、そんな使い方をしていた。それ自体がいいか悪いかは置いておいたとして、少なくとも、こうしたインターネット(およびメディア・社会・経済的環境)の一側面が自分自身の人生のある部分を決定づけたことは疑いえない。
話を元に戻そう。そんなこんなで、ニコニコ動画でいろいろな動画をみているなかで見つけたのが、コンピレーション動画シリーズだった。
あらためてこのコンピレーション動画を眺めてみると、当時の雰囲気が分かってきておもしろい。
「chillwave」という音楽ジャンルがある。はじめてのインターネット発の音楽ジャンル、などとも呼ばれるchillwaveだが、流行したのは2009年頃。ちょうどこの動画シリーズが投稿された時期と重なる。
動画をみてみると、2009年12月26日投稿のVol.13ではじめて「Glo-fi」という言葉が出てくる。Glo-fiはchillwaveの別名で、chillwaveは当時、Glo-fiやhypnagogic popなどとも呼ばれていた。
Vol.14では動画説明欄に「Glo-fi(Hypnagogic Pop)と呼ばれるジャンルがUSで急成長しているそうです、Washed Outはその代表的な存在です。」と書かれている。
この動画シリーズを知った時期は正確には覚えていない。2007年からある程度時間が経って、すこしながら「サブカル的」リテラシーが育っていた頃だったと思う。少なくとも、ある程度動画が投稿されてから知った記憶がある。
考えてみると、シリーズを知ってから38と39が投稿された記憶があるため、多分、2011年初頭(37がアップされた2011年02月10日から38が投稿された04月18日の間?)に間に知ったということになる。
動画シリーズでよく取り上げられる音楽ジャンルはエレクトロニカやIDM、インディーロックやポストロックが中心だ。当時の自分は電子音楽が好きだったのでインディー系は眼中になかった(といっても、嫌いというほどではなかった。興味がないというほうが正しい)。
そして、注目したのが、当時流行っていたchillwaveだった。インターネット上で生まれる音楽のマイクロジャンルに興味を持ったきっかけがこの動画シリーズだった。
そもそも、なぜいまこの動画シリーズをまとめたページを作ったのかといえば、この動画シリーズが自分のその後の音楽の趣味を決定づけたことをあらためて自覚したからだった。
楽曲をみてみれば、意外といろんなジャンルをセレクトしていることがわかる。基調はフォークトロニカ、IDM、インディーロックのゆったりしたものが多いのだが、度々チップチューンをテーマにした動画やブレイクビーツの激しいテーマのものが挟まる。
セレクトされているアーティストで最多なのがBibio(11回)なのが性格を表している。一方で注目したいのがDJ Newtownやぐちょん、imoutoidなど日本のネットレーベル系からもセレクトされていることだ。
2010年代前半はネットレーベルが流行した時代でもあった。取り上げられているchillwaveもしかり、チップチューンとネットレーベルには深い関わりがあることを考えても、「ネット音楽」の割合が意外とたかいといえないこともない。
この動画シリーズに影響を受けたか受けていないかはともかく、その後自分は「ネット音楽」的なものをよく聴いていくことになる。chillwaveをはじめとして、マルチネなどのネットレーベルで注目されていくfuturebassやベース系音楽、chillwaveにもつよい影響を受けているvaporwaveなどなど。
動画シリーズをまとめていて、初めて気付いたことがある。
ニコニコ動画のマイリストは、マイリスト作者が各動画に説明書きのコメントをつけることができる。このコンピレーション動画の作者は、マイリストのコメントで、各動画に解説用のラベリングをしている。
ラベルはタグとサブタイトルの2つで構成されており、その動画の雰囲気を説明するようにつけられていた。タグは[Light]、[Dark]の2つ、[Dance]、[Relax]の2つから、それぞれ2つのタグを選んでタグ付けしている。また、サブタイトルは、英語の短文で表現したその動画のテーマだ。
マイリストそのものの説明文では、上記4つ、[Light]、[Dark]、[Dance]、[Relax]のタグの説明しかなされていない。ほとんどすべての動画はこの4つのタグだけでタグ付けされている。
気付いたことというのは、シリーズ最後の動画だけ、この4つ以外のタグがつけられているということだ。
それは[Holy]というもの。この動画のサブタイトルは、この動画では"RΛINRØMΛИÇÈR"というもの。これもほかの動画とは雰囲気がすこし違っている。
最後の動画の投稿日は2012年09月20日。その前の動画が2011年04月18日であり、期間としては1年以上空いている。
この最後の動画のラベルとサブタイトルから、当時の雰囲気を感じるのは自分だけだろうか。Zalgo風の文字装飾はwitchhouse界隈で流行った検索避けを彷彿とさせるし、Holyというタグも近いノリを感じる。動画の中身を見ても、それまでなかったベース系の曲が採用されている。つまり、なんだか「ネット音楽」っぽい。
2010年代前半はインターネット発のマイクロジャンルが量産
前述の通り、自分はこのコンピレーション動画シリーズを知ってから、「ネット音楽」を好んで聴いていくことになる。あらためて気づいたのだが、動画シリーズ最後の動画は、こうした「ネット音楽」の雰囲気をはらんでいるように見える。さらにいえば、なんとなく、自分のその後の趣味を予見していたようにも見える。
見出しの「あり得た可能性」についても少しは書いておかなければならない。
この動画コンピレーションシリーズに大きな影響を受けた
でも、この動画シリーズは「ネット音楽」的な部分がすべてなわけじゃない。「ネット音楽」に注目するとそればかり目に付くが、そうではないオルタナティブロックやポストロックもたくさん入っている。
この動画シリーズを見返していて最近思ったのは、自分の音楽の趣味がそれから「ネット音楽」ではなく、こちらの方向に進んでいく可能性もあったんじゃないかということだ。chillwaveにはゼロ年代前半のインディーロックの影響が強いし、影響関係を遡って、こちら側(つまり、「ネット音楽」ではない側)ばかり聴くようになっていくこともあり得たんじゃないか。
さらにいえば、インディーロックからオルタナティブロックやガレージロックリバイバル、ポストパンクリバイバルを経て「ロック」側をよく聴いていく可能性もあり得た気がする。
実は自分は、「ロック」というものになんとなく、距離感を感じる。正確に言うと、よくわからないものという印象が強い。
よくわからない「ロック」は2017年
それは、もともと「電子音楽(とは?)」を好んで聴いていたからということや、「ネット音楽」的なものに惹かれてきたからということだ。
だからこそ、「ロック」を聴いていたかもしれない自分があり得たと想像できることは面白い。さらにいえば、妙な感慨を感じる。
前回の雑記の「まとめの表」で「インディーロックをいいなと思う」と書いたのは、実はこういう思考の流れがあったからなのだった。
音楽遍歴というとこれまた偉そうだが、実際のところはその時々の興味で適当に聴いてきたにすぎない。
最近どうも昔の話ばかりしてしまって、「時には昔の話を」どころではない。しかし、今を考えるうえで、過去を振り返るのも大切なことのはずだ。これまでの人生を振り返ったうえで、趣味を広げていきたいものだなあと思う、晩夏のある日なのであった。
まとめ
もう、寝よう。
というか今回も変に長いかんじになっちゃった。ほんと毎度色んなところで昔話ばかりしている気がする。
よくない。今を生きる必要がある。でもやる気ないんだよね。新しいことに挑戦する気持ちとかさー。